Archive for 10月, 2014

第4弾をやることになった経緯その2

今年の某IFFにて、“日本アニメーションの今”というようなプログラムを観た。つまり、現在の若手アニメーション作家の作品を、10本程集めたプログラムだった。つまらなかった。10本のうち1本も、心がピクリとも動かなかった。
そもそもアニメーションとは、たった一人ですべて一から作るからこそ作家性が強く出るものだと思うが(実写だったら、例えば役者やカメラマンに、作品が左右される要素が強い)、私が期待するような強い作家性・歪みを持った作品には出会えなかった。

そこで比較として思い出したのが、某T映画祭で審査員をしたときに観た、三ツ星レストランの残飯氏のアニメーション作品だった。自分でつけたペンネーム(たけし軍団でも大人計画でもないのに)としても肝が座った命名だと思ったが、作品もなかなかに強度があり、印象に残った。そして、もっと面白かったのが、某T映画祭当日の、上映後の質疑応答であった。

私が客席から挙手して「最初と最後に町の風景実写が出てくるのは、一般的なぬるい表現に対する揶揄とか、自分の作風との対比とかなんですか?」と小難しい言い方で質問したところ、下を向いたまま不機嫌そうに、「アニメーションが嫌いなので…」と答えになっていない答えを繰り出したのだった。アニメーション作家がアニメーション嫌いっていうと?と、会場の誰も意味がわからず、そしてなぜ不機嫌なの…という雰囲気の中、その場は終わった。

面白いので、フェイスブックで“友達”申請をしてみた。三ツ星レストランの残飯氏のフェイスブックは“友達”しか見られないように設定されており、事前には内容が読めなかった。程なくして承認してもらえたので、「よかった」と思い、早速書き込みを読んでみたところ、例の質疑応答のことを「質疑応答で恥をかいたので、死にたい」みたいに書いていたのだった。
こ、困った人だなぁ、私は褒めてたのに!なんだかすごいぞ。作者本人のこの歪み方も、私の印象に残った。

とにかく面白いので、某T映画祭関係者に裏から手を回し、三ツ星レストランの残飯氏の過去の応募作品を観ることができた。それが、今回の上映作品の「びくてぃむ」。作品解説を読んでほしいが、その夜悪夢を見る程、面白かった。

この数奇な出会いもまた私に、某IFFの“若手アニメーション作家作品の現在”特集との対比で、三ツ星レストランの残飯氏の、この歪んだアニメーション作品を私が上映しなければ!と、変態まつり開催を決心させた、一因であった。(小口)

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